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人生の最期を安心して迎えるために必要なこと

2022/1/23
[ 地域医療を考える ]

どのような人生を歩もうと、死は必ずだれにもおとずれるもの。生と死は連続したのものであり、決して忌むものではない。しかし最後の瞬間に、肉体はほろびても、ともに生きてきた家族や親しい人に感謝し、愛を伝えて旅立ちたい。誰もがそう思うのではないでしょうか?そして愛を受けとった遺族は、故人の愛を感じながら、人生を再出発していくことができます。

治る見込みがないときに、最期をどこで迎えたいですか?

だれとどこで迎えたいか、どんな医療を受けたいか、悩んでいることはないか、伝えているでしょうか?ひとりひとり状況は異なりますから、希望はいろいろあっていい、また状況が変われば希望も変わるでしょう。平成24年の内閣府意識調査では、55%ほどの方が自宅での最期を希望されていました。しかし厚生労働省のケース別調査では、身体的に落ちついている場合を除き、病院や介護施設を希望する方が多くなっています。

出典:平成28年厚生労働白書
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/dl/1-02.pdf

「家族の介護負担」「急変時の医療対応」に不安

平成20年の厚労省調査では、自宅で最後まで療養することは困難 であると 6割以上の人が考えていて、その理由としては、「家族の負担」、「症状急変の際 の対応」の不安が多い。これらをみると、最も望んでいるのは「自宅」であるものの、症状や治療の程度、家族への負担などの要素が重なることで病院などを希望していることが 考えられる。 人生の最終段階における医療について家族と「全く話し合ったことがない」と答えた人が56%と過半数を超えていました。

出典:平成28年厚生労働白書
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/dl/1-02.pdf

自宅で亡くなる人は12%余り、病院が77%、施設が増加

死亡場所の推移について見てみると、昭和26年には8割以上が「自宅」で死 亡、「医療機関」で死亡する者の割合は年々増加 し、昭和51年に逆転し8割を超えました。平成12年「介護保険制度」が施行され、平成22年には病院死が漸減、しかしその減少分は「自宅死」ではなく「介護施設死」に置き換わっています。

出典:平成28年厚生労働白書
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/dl/1-01.pdf

世帯構成の推移 家族介護の限界

昭和61年に45%を占めていた「三世代世帯」は1割ほどに減り、代わりに増えたのが「独居」「高齢夫婦」そして「高齢者と未婚の子」の世帯です。高齢者だけの世帯の場合、子供がいても遠方で仕事をしていたり家族を持っています。また未婚の子との同居世帯はさまざまな事情を抱えています。家族だけに介護を任せていることが不可能になってきた。

出典:平成28年厚生労働白書
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/dl/1-01.pdf

看取りの場は自宅でも施設でもいい、せめて最期の一週間は家族に囲まれて送りたい

「症状急変の際 の対応」については、医療側の責任です。わたしは、家族とともに、自宅や特養で穏やかな最期を経験してきました。訪問看護やケアマネが家族を支え、急変時の臨時往診、病院への搬送システムを目指してきました。 今も「新潟市在宅医療・救急医療連携推進パイロット事業」構築のため努力しています。 http://www.niigata-min-sakaiwa.com/zakki/4303

でもまだ足らない。そうです、患者さんが安心して旅立てるように、また家族の不安をささえる仕組みが必要なんです。「看取り士会」のとりくみは大変参考になります。柴田さんの臨死体験や看取り作法など、異論はさまざまだと思います。しかし、死を恐怖から、暖かいものに変えてくれます。映画「みとりし」は2019年の製作ですが、アマゾンなどでレンタルで視聴できます。まだご覧になっておられない方は、是非一度ご視聴ください。

そして最後に、日本社会全体が失ってしまった「みとり文化」、これを今の社会にもう一度再構築することが必要ではないかと思います。命の尊さを、愛のバトンを次の世代につなぐために。行政や企業側も、育児休暇、病気療養だけでなく、是非一週間の「みとり休暇」を制度化してほしいと思います。

出典:http://www.is-field.com/mitori-movie/

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