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100歳になっても自分の歯で食べる~好物は「あずきもち」と「かりんとう」   訪問診療の一幕

2023/10/24
[ 地域医療を考える ]

今日は定期の訪問診療日でした。男性1名、女性4名、そして最高齢が先月100歳になられた「クニエさん」です。娘さんと二人暮らしですが、娘さんも仕事があり日中一人のときがあります。でも困りません、ひとりでトイレに行けますし、おなかがすけば娘さんの用意した食事をいただきます。デイサービスやショートステイも利用され、いつも笑顔、みんなの人気者です。

好物は焼いた切り餅に甘いあずきをたっぷりつけて食べること。なんとほとんど自分の歯なのです。1枚のおもちを自分の歯でかみ切り、少しずつ食べます。のどにつかえることなどありません。食後のデザートは甘いかりんとう(笑)カリカリといい音を立てて、あっという間に何本も食べてしまいます。

HPへの写真掲載はご家族の許可を得ています。

これは「いただきます」のあいさつではありません。「今日はぐあいはどうですか?」「死にそうです」と笑って答えます。そしてなにを聞いても、なんどもなんども無言で手を合わせるのです。わたしもつられて手を合わせました。今生かされていることに、ただ感謝して毎日を過ごされています。

訪問診療に同行した看護師長といっしょに写真を撮らせていただきました。話しかけると、いつも素敵な笑顔を向けてくれるのですが、写真を撮ろうとすると突然おすましポーズです(笑)写真を撮って驚きました。手が大きいんです。指も太くて長い、若いころ、いっぱい働いてきた手なんですね。うんうん、とうなづいておられました。また来月よせてもらいますと、左耳から大きな声でつたえると、またにこやかな笑顔に癒されました。

当院には高齢の外来患者さんが多く、認知機能も低下し、足腰も弱くなり、家族といっしょであっても通院困難な患者さんが増えてきています。また待合室で1時間も待つことになると体調を崩しかねません。希望される方には、訪問診療をしています。できる限り、最期までお世話させていただけるとありがたいと思っています。外来での3分間診療とちがって、自宅での患者さんの生活と笑顔にふれることができること、医療の仕事をしていて、なによりの喜びです。

コメント

  • Emichan より:

    100歳の笑顔、なんだか涙が出てきます。
    亡くなった母が『痛いところがあらへんから、感謝できるんや』と言ってたのを思い出します。
    手を合わせたツウーシヨツトに、訪問診療の心を感じました。

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