坂井輪診療所

糖尿病
HOME » 糖尿病
 
医療機器

良好な血糖コントロールで「新型コロナ」にまけない!

2020/4/4
[ 糖尿病 ]

開設と同時にスタートした「糖尿病専門外来」を廃止するまで

当院は1989年(平成元年)に開設されました。開設と同時に、週1回の「糖尿病専門外来」を継続してきましたが、医師支援が困難となり昨年の3月に終了となりました。ちょうど1年となります。しかしちょうど3年ほど前、同じ西区の近隣に糖尿病を専門とするクリニックがオープンしましたので、コントロールの難しい方、あるいはこれから長い糖尿病人生を送るであろう若い方は、できるだけご紹介させていただきました。おそらく100名を超える患者さんに転院していただきましたが、諸々の事情で転院されなかった患者さんは、非専門医であるわたしが診療させていただいています。

かかりつけ医として担当している252人の糖尿病患者さん

そこで電子カルテ患者登録システムから検索すると、当院に通院中の糖尿病患者さん総数は252人、まだまだたくさんの患者さんの診療をさせていただいていることに驚きました。注射治療が11人、内服治療が145人、投薬なしが96人であり、治療群については、以下のリンク先にまとめてありますのでご覧ください。
https://www.niigata-min-sakaiwa.com/zakki/1718
https://www.niigata-min-sakaiwa.com/zakki/1688
https://www.niigata-min-sakaiwa.com/zakki/1793

さて当院の糖尿病患者さんはきちんと診療できているのか、治療実態をまとめてみようと思ったきっかけは「新型コロナ」の流行です。その特徴は新型インフルエンザとは異なり、致死率が「高齢者」と「基礎疾患」のある方に圧倒的に高いことが報告されました。糖尿病があるだけで、致死率が7倍以上高くなるのです。しかしどの程度の血糖値であれば、感染症に対して抵抗力が弱るのか、当院の患者さんたちは守れているのか? 調べてみました。

糖尿病の人が感染症にかかりやすく悪化しやすい理由

①好中球の貪食機能の低下 好中球は白血球の成分のひとつで、体内にウイルスや細菌が侵入すると、それを取り囲んで食い殺します。血糖値が高くなると、この機能が低下します。

②免疫反応の低下  免疫反応とは、一度感染した病原体に対し、体内でそれに対する抗体が作られ、次に同じ病原体がからだに侵入しようとしたときに、それを防ぐように働く仕組みのことです。高血糖では、この免疫反応も弱くなっています。

③血流が悪くなる  高血糖では、細い血管の血液の流れが悪くなります。このような状態では、酸素や栄養が十分に行き渡らず、細胞の働きが低下したり、白血球が感染部位に到達しにくくなって、感染しやすくなります。さらに、感染で受けたダメージの回復にも時間がかかりますし、抗生物質などの薬物治療でも、薬が感染部位に到達しにくいため、薬の効果が弱くなります。

④神経障害が感染・悪化の一因に  糖尿病の合併症の神経障害があると、内臓の活動が乱れやすく、膀胱炎や胆のう炎の原因になります。また、痛みを感じる神経も障害されるので、症状が現れにくく、感染症に気付くのが遅れ、その間に病気が進行してしまいます。

⑤血糖値がより上昇する  一度細菌類に感染すると、インスリンを効きにくくする物質(サイトカインなど)が多くなって、血糖値は普段よりも高くなります。このことが糖尿病の状態をより悪くしてしまい、感染症をさらに進行させてしまうという悪循環が生まれます。

以上「糖尿病ネットワーク」より引用しました
https://dm-net.co.jp/seminar/25/index.php

感染症とたたかうための血糖目標値はいくつか?

では血糖値がどのくらい高くなると白血球の機能が低下するのか?ひとつだけ試験管内での実験を紹介します。高濃度のブドウ糖液の中に60分間だけ、大腸菌と血液を混ぜます。すると好中球が活性酸素を産生して大腸菌を攻撃するはずです。その活性酸素を化学発光により測定しました。200㎎/dlの濃度に60分間暴露しただけで、わずかですが好中球の機能が低下しました。500㎎/dlでは有意差を持って機能低下が証明されました。

出典元:日本化学療法学会雑誌「糖尿病患者の好中球機能異常」
http://www.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/06405/064050735.pdf

高血糖が好中球の機能を低下させるメカニズムの詳細については、まだまだ明らかにされていないことが多いようです。しかし米国糖尿病学会・米国心臓病学会では、入院治療が必要な患者さんの血糖コントロールについて以下のような声明を発表しています。
「血糖値180㎎/dlでインスリン治療開始し、目標値は144~180㎎/dlとする」 
日本のガイドラインでも、敗血症患者の目標血糖値は米国に準じています。

万が一「新型コロナ感染症」にかかったときに、コロナとたたかえる血糖値は「180」、つまりHbA1c7.0%の平均血糖は150ですから少しきびしい、やはり7%をきるコントロールが必要と思われます。

<フェイスブックご利用のみなさま>  以下のサイトからコメントいただけますとうれしいです。
https://www.facebook.com/tetsuo.adachi.9/posts/2953987194680237

icn_footer_phone
icn_footer_contact
top