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どうして内科クリニックで骨粗鬆症診療を始めたのか? ~2015年10月 骨密度検査開始の想い、こんなことを考えてたんだな~

2020/5/24
[ 高齢者の病気 ]

2015年12月5日「さかいわ健康友の会]FBページの投稿より転載

2015年10月 骨密度検査をはじめました!

左は4年ほど前のわたしの後ろ姿です。まだ髪の毛がありました(笑)

当時の新潟市骨粗鬆症病診連携の実態

 新潟市で骨粗鬆症病診連携が始まってから3年が経過しました。この間、西区西新潟中央病院の骨粗鬆症専門外来に10名ほどでしょうか、ご紹介し、今も連携を継続している患者さんもおられます。しかしなかなか増えない、閉経後の女性に検査をおすすめしても、腰痛や骨折、自覚症状のないうちは受診していただけない。また逆に高齢になり、足腰が弱くなってくると、もう年だからいいと言って、やはり受診していただけない。「先生のところでは検査できないんですか?」と言われ情けない思いをしてきました。

 骨密度検査は、簡便法としてはかかとの超音波検査でおおよそはわかります。しかし治療が必要か否か、ましてや治療効果を見るための経過観察としては役に立ちません。前腕骨の検査もありますが、必ずしも全身骨を反映しません。そこで考えたことは、もはや自分でやるしかない、腰椎と大腿骨の骨密度を測定できる装置を買おうと、まさに清水の舞台から飛び降りる気持ちです。なぜなら、内科クリニックに導入してもペイしない、赤字前提の医療器械だからです。

「医療介護総合確保推進法」制定による要支援の介護保険外しと高齢通院患者さんの実態

 もうひとつ動機がありました。今年4月、介護保険法が改正されました。要支援1・2が介護保険から除外され、自治体の総合事業に移管されたのです(新潟市は移行措置として2年の猶予があたえられましたが)。要するに、要支援1・2に認定される利用者さんのほとんどが、筋骨格系の疾患、つまり骨粗鬆症による転倒骨折、筋力低下によるサルコペニア、変形性腰椎症、膝関節症などなのです。足腰が弱り、買い物に行く、ごみ捨てに行くだけでも困難を抱える高齢者、それも独居や老老介護の家庭が大変多いのです。

 高血圧症で通院中の患者さんが、最近来ないと思ったら骨折して入院してた、退院したが家事ができなくなった。家事援助のためにヘルパーさんが必要だと。しかし介護保険から除外されたなら、家事援助が除外される、つまり全額自費でまかなえと、これが国の方針です。わたしたちかかりつけ医は、内科の患者さんから、①進行がんで命をとられるひとをなくす ②脳梗塞や心筋梗塞で後遺症を残す人を減らす この2点を診療の柱に予防活動、検診を行ってきました。これからは、③骨折して寝たきりになる人を出さない このことも診療の柱のひとつに加えなければならない、そう思ってきました(もうひとつは ④認知症です)

当院通院中の女性患者さん 42%が骨粗鬆症、28%に骨量減少

 そこで10月から全身用骨密度装置を導入し、2ヶ月で103人の患者さんの検査を行いました。まだ十分なまとめは出来ていませんが、95名の女性のうち40名が骨粗鬆症、27名の境界型の方を加えると、70%の女性に骨量減少が認められました。これが内科外来に通院されている患者さんの実態なのです。これらの患者さんが骨折しないように、生活指導、薬物介入をはじめたところです。もちろん、整形外科通院中の患者さんには検査をしていません。

骨折がなおってから再骨折予防の治療がされていない現状 →内科でやるしかない!

 また骨粗鬆症と診断された40名の患者さんから気づくことがありました。
①8名の患者さんに腰椎圧迫骨折の既往がありました。しかし整形外科からは治療されていませんでした。
②整形外科で骨粗鬆症と診断されたことのある患者さん7名中6名が、ビタミンDだけの治療でした。
③25名が、高血圧、脂質異常症、糖尿病のいずれかの内科疾患で治療中でした。
④骨密度の低下部位は、腰椎23名、大腿骨17名であり、75歳を境に逆転していました。閉経後は腰椎から骨吸収が亢進し、しかし加齢とともに腰椎の変形、石灰化などがくわわり、見かけ上、腰椎の骨密度が高く測定されるようです。高齢者、いえ若い人であっても、大腿骨の骨密度測定を省略してはならないと、実感しました。

 新潟市西区は人口15万8千人、高齢者は4万2千人です。一般病院が4箇所、全身DXA装置のある整形クリニックが3箇所、そして内科で導入した当診、計8台ということになります。内科として、専門医ではありませんが、ご近所の患者さん、とりわけ高齢の女性が足腰が弱らないように、骨折しないように、少しでもお役に立てればと考えています。

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