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新型コロナ「PCR」陽性でも感染しているとは限らない? また「風邪をひいたけれど受診をためらう」ときは遠慮なく電話をかけてください

2020/3/1
[ 内科の病気 ]

熱が下がらない、新型コロナでないのか心配だ、検査してほしい、全国から悲鳴のような声が聞こえてきます。かたや韓国ではドライブスルーで検査ができるのに、どうして日本ではやらないんだと怒りの声。必要な患者さんにすみやかに検査ができる体制をつくることは喫緊の課題です。しかし自覚症状がないのに検査を受けて安心したい、お金は払うからと、この論調に対して専門家からの異論がでています。しかしマスコミからはとどかない。わたしの知る範囲で調べてみました。

「感度」感染者を、陽性と診断できる割合

「偽陰性」について このことはなんとなくわかりますよね。症状があって検査をしても陽性にならない。インフルエンザの簡易検査でもそうです、あまり早期だとウイルス量が少ないので検出できない、あるいは綿棒でのぬぐい方が不十分な場合もそうです。繰り返し検査しているうちにようやく陽性になる。これと同じことは新型コロナでも起こっています、とりわけ咽頭でのウイルス量はインフルエンザの千分の一と言われています。感染者のうち陽性と診断される確率を「感度」といいます。

「特異度」非感染者を、陰性と診断できる割合

「偽陽性」について このことがあまり知られていない。つまりウイルスがいないのに陽性と判定されてしまうことをいいます。そんなことってあるの?あるんです、インフルエンザでもあります。「 PCRにおける偽陽性としては、アガロースゲル電気泳動像に意図しないバンドが出現する非特異的増幅、ターゲットと混入したアンプリコン(場合によっては鋳型DNA)の両方が増幅する、もしくは陰性試料が陽性となるキャリーオーバーやクロスコンタミネーションによる増幅産物などがある。」https://www.aandt.co.jp/jpn/tree/vol_13_1.htm
上記のサイトの「2 PCR増幅産物の検出と遺伝子増幅の基本的事項」の後段から引用しました。
専門的なことはわかりませんが、技術的な限界、また陰性試料に陽性試料が混入することもある、また死んだウイルスの遺伝子を増幅してしまうこともあるという記載が他の文献にありました。

とすると何が起こるか、本当は感染していないのに、おまえは感染者だという濡れ衣を着せられたり、また自分は感染してしまったと嘆くことにもなりかねないということです。非感染者のうち陰性と診断される確率を「特異度」といいます。どんなに精度が上がっても、100%にはできないのです。

そこでどのくらいの人数が「偽陰性」「偽陽性」となるのか、二つの条件で計算してみました。現時点では新型コロナのPCRの精度はわかりません。しかし最高に精度が高いと想定して、「感度=95%」「特異度=99.5%」として計算してみます。

かりに4000人を検査したとすると、偽陰性40人、偽陽性4人となります。
まあまあ妥当な結果でしょうか?
かりに10万人検査したとすると、偽陰性はほぼなし、しかし偽陽性が100人でてしまいます。
この結果をどう判断しますか?

無実の濡れ衣を着せられる「偽陽性」の「非感染者」

症状があって「偽陰性」の場合は繰り返し検査をすればよいですよね。しかし非感染者であるのに「偽陽性」の方にどう説明すればよいでしょう?症状がないのだけれど、陽性ですから隔離?少なくとも2週間外出禁止というところでしょうか?おわかりのように、どんなに精度のよい検査であっても100%の結果は得られない。有病率の低い集団に対し、もし多数の検査をしたならば必ず現れる事象です。

今の段階では無症状の人の検査はクルーズ船、チャーター機帰国以外ではしていません。その場合の陽性者は感染者として対応して問題ないでしょう。しかし今後、ごく軽症の風邪患者さんに全員PCR検査を行った場合、「偽陽性」が必ず問題となってきます。PCRが保険適応となり、検査体制が整ってきたとき、その中に「偽陽性」の「非感染者」が含まれることを念頭に置かねばなりません。
https://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20200212_6236.html?fbclid=IwAR1IXivenLS2BcrgbxQP0xItwPfUUnMELThq2GPWCA5XgLPYd40diVtdaPk

軽症のかぜ症状では自宅療養を、しかし高齢者はがまんしてはいけない!

新型コロナ感染初期では、通常の風邪と区別がつきません。感染者は今のところ少数ですが、一般の外来をふつうに受診されるでしょう。「発熱外来」などを設置できる医療機関は良いですが、ほとんどの開業医では困難です。とすれば今できる対策は、ハイリスク患者さんを医療機関に近づけないことです。2月29日から慢性疾患で通院中の患者さんに限り、「電話再診」「オンライン診療」が可能となったようです。高齢で安定した方は、電話対応などで処方を受けられるようお勧めします。

また風邪を引いた場合、ごく軽度であれば自宅療養をしましょう。もし発熱が続いたり、食事がとれなかったり体調不良が強ければ、遠慮なく「相談センター」「かかりつけ医療機関」に電話をして指示を仰いでください。若い人であれば4日ほどの発熱をがまんしていても心配ないことが多いですが、高齢者は別です。とくに発熱だけの場合にはいろいろな病気があります。

先日当院に受診された高齢者は、その日の朝に発熱、お昼にはショック状態でした。胆管炎と診断し専門病院に搬送しました。もし厚労省の指示通りに2日間がまんしていたら大変なことになっていたでしょう。風邪の熱には、上気道症状(咽頭痛、鼻汁、咳)、胃腸症状(嘔吐、下痢)などがともないます。発熱だけの場合は要注意です。また高齢者は脱水状態になりやすく手遅れになることもあります。まずは電話をかけて対応を相談してください。

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